団塊の女性の多くは、すでに子育てから解放され、時間的にも金銭的にも余裕がある。コミュニティに溶け込み、自分なりのネットワークを築いており、友人らと頻繁に旅行に出かけるなど、4つの皮膚のいずれの領域でも存在感は大きい。だが、団塊男性は仕事に明けくれている状態だ。彼らは制服を脱ぎ捨て、私服で通学した最初の世代、ジーンズを最初に履いたのも彼らである。ファッションには無関心で、倹約を美徳とし、地味な服装で満足していた従来型のシニアとは異なる消費志向を持っている。にもかかわらず、タテ社会のなかに組み込まれ、本来、持っていたであろう価値観や文化の担い手としての顔は埋もれたままだ。団塊世代がタテ社会からヨコ社会(ネットワークやコミュニティ)へと足を向けるとき、第二、第三の皮膚、つまリファッション業界は、より活性化するだろう。ただし、団塊世代は、ボリュームが大きいためにひとくくりにされがちだが、他の世代同様、志向も好みも一様ではない。それを踏まえた提案が必要だ。いずれにしても、いまやファッションビジネスは衣食住をトータルにとらえるようになっている。「食」の分野や、時間や空間といった目に見えない部分にこそ、新しいビジネスのヒントが隠されている。