生活競争が組織されている中では、モノを多く持たせる仕組み、それが豊かさなのだというように私たちは思わされて来ました。私は職業柄結婚式に出ることが多いのですが、卒業生たちから結婚のときの荷物のつくり方というか準備の仕方などの話を聞いていると、最初に若い二人が立てた計画よりもどんどん荷物が膨らんでいくことがわかります。親たちの競争によってです。「先方の家庭にどう思われるだろうか」というようにお互いの家庭が張り合って荷物を増やしてゆく。
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あるいは、荷物を運び出すときに近所の方がこの荷物の量をどう思うだろうかというような心配までして荷物をどんどん増やしていくという競争のさせ方が行われているのです。ごく身近な別の角度から以上のことを考えてみましょう。きょう私は一つのブローチをつけていますが、このブローチをつけてきたということは「ほら、良いブローチをつげているでしょう」と見てもらいたい気持が私の心の中にあったということでもあります。一方、これは礼儀だという気持もあります。ブローチもつげていないような服装で行くのか、あるいはブローチのひとつでもつけていくのが礼儀というよりは、やはり自己表現としてのブローチを考えておりました。みなさんも多くの方が指輪をしておられます。これも自己表現だと思います。けれどもそうでない考えの方もいらっしゃる。ギラギラジャラジャラとつけて「わたしこんなに金持ちよ」というのも自己表現といえば自己表現ですが、「あなたよりわたしが競争に勝ったのよ」ということを見せたい方もいらっしゃるかも分からない。「あんたそんなん、二つしかつけてへんの?わたしなんか四つも五つもつけているわ」と言う方も実際あちこちにおいでになる。