成熟した社会とは、いうまでもなく社会の構成員それぞれの成熟を前提にしている。独自の考え、価値観、行動様式をもった自立した個人が、互いに依存し合うためではなく、よりよく暮らすために集まった社会、それが成熟社会である。そうした社会の特徴は、そうではない社会と比較してみるとよくわかる。たとえばそこには、わが国のように「徒党を組む」ことがない。群れて歩き、それに乗じて騒ぎ、私的な恨みまで晴らそうとする。そんなことは成熟社会にはほとんど見られない現象である。同じヘアスタイル、同じ服、同じカバン、同じ靴という、画一的で没個性的な“サルまね文化”もない。さらに重要なのは、自分たちと異なる考えをもつ人間を悪くいう社会ではないということだ(わが国では悪くいうだけではなく、彼らを排斥することさえ少なくない)。これは国(公的機関)の教育方針に問題があるのである。