労働力は人的資本

2011-10-21

人的資本の考え方である。日本の雇主は現場の労働者に対する教育・訓練を重視する事では世界の中でも傑出している。それは先進国をめざしたキャッチ・アップ過程が急速であり、技術の蓄積が比較的乏しかったために、先進国から導入した技術をできるだけ早く吸収し、現場の生産活動をつうじてのその成果を最大限に生かそうという戦略の反映であったという事ができるだろう。資本とは一般に、投資をする事によって将来の収益を高める事のできる財と定義されるが、労働力もまた教育や訓練によって将来その生産力を高める事ができるという意味では人的資本と言う事ができるだろう。日本の雇主が現場労働者に対する教育や訓練に熱心である事は、いうなれば労働力を人的資本と考える傾向が強いという事である。人的資本は投資をつぎ込んだ財産であるから、その投資の元をとるまでは簡単に手放す事はできない。不況が来て多少生産が落ち、売上げが減ったくらいでは人的資本である労働力を解雇する事はできない。せっかく投資をして育て上げた労働力を解雇してしまえば、それまでの投資にかかった費用のモトがとれなくなる。したがって企業は労働者に投資をすればするほど簡単に解雇はできなくなるのである。日本の企業は現場の労働者に教育・訓練などで大きな投資をする傾向が強いが、そうであればあるほど解雇はしにくくなる。いいかえれば多少の景気変動や不況があっても長期安定雇用を維持する傾向が強くなるという事である。

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