路地裏の安宿でこの旅初めてのシャワー

2012-01-15

仁川までは四、五時間で着くと思っていた。道路もそれほど混んではいなかった。ひょっとしたら、今日、出航するという丹東行きのフェリーに間に合うかもしれないと僕は車内で何回も時計をみつめた。高速道路はソウルの南郊をかすめるようにして仁川に向かっていたが、そのソウル南郊の手前三十五キロほどのところから車が混みはじめた。しだいに密度は増し、完全な渋滞にはまってしまった。ソウル市内に入る料金所から渋滞がはじまっているようだった。

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日はどっぷりと暮れてしまった。僕らはその日のうちにフェリーに乗ることを諦めるしかなかった。「何日ぶりのシャワーだろうか」仁川の港に近い安宿の浴室で僕は呟いていた。しかし考えてみれば、東京駅の八重洲口をバスで出発してから三十二時間しか経っていない。